コーヒー・ブレイク(18)どこから来たの?
一昨年から、前庭の雨も当たらない軒下に花桃の苗が生えてきていたのを、いくらなんでもここで大きくなられてはまずいので、抜いてしまおうと思い引っ張ってみたが、地上部はヒョロっとしているのに根っこが水分を求めて恐ろしく長くしっかり張ってしまっていて、引き抜こうにも到底歯が立たない。それで昨年、仕方なく、というか、その生き抜こうとする執念に実は少し感動してしまい、適当な長さで根を切ってからクルっと丸めて植木鉢におさめておいた。
それにしても当の親木の花桃は建物の裏側にあって、あの大きな種が風で飛ばされたとは考えにくいので、比較的大きな鳥によって運ばれたのかと推理してみた。それが今年もうさっそく花芽をつけていたのでその成長の速さに驚いていたら、蕾が膨らんでくるにつれてどうも花色がおかしいではないか。あれあれ?と思っていたら先日開花したが、なんと真っ白なのだ。家のはピンクなので明らかに親が違う。ところが私の知る限りご近所に、白いホウキ性花桃の植わっているお宅はないはずだ。
いったいどこまで遠くから運ばれてきたのか。もし同じピンク色だったら親の違いにも気づかなかったはずである。そう考えると、偶然の積み重なりが何か特別なことに思えてきた。この際いっそ改めて地植えにしてみようか。私の頭の中ではすでに、見上げる枝々に花桃の純白の花が満開である。
2014.4.5