コーヒー・ブレイク(12)こぼれ種
2013.5.1
また、モミジや万両、花桃、シマトネリコなどの芽も出ているが、これらは自宅や隣家の庭にあるものなので、風で運ばれたのかと納得もいくが、中にはかなり大きくなるまで正体のわからないものもあって、そんな場合は判明するまで一応観察を続ける。
そういえばこの丈夫な木は、昔は家の生垣などによく見かけたが、特に姿がよいわけでもなく、たえず強い剪定が必要で葉の病変もあるからか、今ではほとんど見かけない。かと言って、せっかく新しい環境に順応しているものを、今更引き抜くわけにもいかず、運のいいヤツ、と黙認することにした。
以前の家の庭の片隅に、知らぬうちにもう立派な苗木になっているものがあって、よくわからないが葉形が泰山木に似ていたので、あの白い花がひょっとして自分の庭に咲いたらと、つい夢見てしまい引っ越しの時にも連れてきた。植え替えたばかりなのにすぐに成長を始めぐんぐん伸びてきて、もうその頃にはそれが泰山木ではなく珊瑚樹であることが明白となった。
これなどはおそらく小鳥が運んで来たのだろう。植物は、自分の望む場所で生きられるわけではない。たまたま根付いたその場所を、運命と決めて精一杯生きる。そんなふうに考えると、こぼれ種で芽吹いたものも、よほど不都合な場所でない限り抜けなくなってしまう。
庭の思わぬところに芽が出ていたりする。地下茎で伸びたものではなく、こぼれ種が発芽したのだ。群がって出てきたので何者かと思っていたら、本葉がしっかりその形になってようやくクリスマスローズだとわかった。自ら交配させて自分だけの花を作るほどのマニアも多い人気の花だが、中庭の半日陰がよかったのか、賑やかに咲いていると思ったら今度は子孫作りである。