☆歴史は繰り返す?

2014.12.11

 来年は戦後70年という節目の年を迎える。ここへきて何やらキナ臭くなってきたと感じるのは私だけではあるまい。我々の親世代は戦争を経験しそれを乗り越えてきたわけだが、我々はどうかと言えば、世は高度成長へと向かう時代に子供時代を過ごし、急速な経済発展とともに若い時代を送った。この停滞感と閉塞感漂う今の世からは想像もできないほど活気があった。今へとつながる問題は以前から確かに存在していたのだろうが、目を向ける人は少なかったはずだ。一億総中流と言われた時代だった。しかし今、富の二極化が急激に進み、貧困が深刻な社会問題となってきた。しかもその貧困は世代を超えて連鎖する。労働形態が変わり、安心して家庭を築けない若者が多すぎる。たとえ輸出企業が過去最高益を上げたとしても、その恩恵がそうした若者や子供たちにまで及ぶことはない。富は完全に分断されている。この深刻な現状から目を背け、相も変わらず経済成長を掲げて進む国家というのは一体何なのだろう。

 戦時体制となれば、世の中すべてがその方向である。ジャーナリズムばかりでなく、芸術も文化も、娯楽でさえもその例外ではあり得ない。日常生活の隅々までその色に染められてしまう。そのことを如実に示しているのが写真の2点のオールドノリタケである。

 昭和史研究家の保阪正康氏が、いつか新聞紙面に書いていた。

「賢者は歴史に学ぶが、愚者は経験に学ぶ。」と。

 国に見捨てられた多くの国民の不満がますます増大し、さらに深刻な社会問題となる頃、政治への怒りの矛先を他に向けさせようと画策する知恵者が出てくる。外に敵を作ることだ。その巧みな誘導に乗せられれば、行きつく先は自ずと見当がつく。

 「この道しかない」と断言する指導者。それが、いつか来た道にならねばよいが・・・。