しかし、以前名古屋の骨董市で目にした物には頼みの裏印がなかった。アメリカ人が戦争中、敵国製だということを隠すためにあえてマークを削り取ってまで愛用していたということも知られているが、その形跡もない。また、その泥漿盛り上げ花瓶の形状はもちろんオールドノリタケに馴染みのものだったが、他社でも共通の型を使用していたことは知られている。店主は当然、「印はないけど、絶対にノリタケですよ。」と言う。実際、無印で輸出していた時代があるのも事実だし、何よりも私の直感がノリタケだと言っている。しかし店主には否定的な見解を語りつつ、まあ参考品として購入するということで決着した。本音を言えば、ノリタケ云々は別にして、要するに気に入ったのである。
☆無印
最近“毎日オークション”に、類似の図柄がオールドノリタケとして出品された(写真はオークションカタログ〈2012/2/18開催〉から借用)が、いくつか相違点もある。果たしてどうなのか、詳しい方にご教示いただければと思う。
2012.10.26
骨董鑑定のテレビ番組で、大層高価な買い物である茶器や壷、絵画が、実はまがい物であったというのは珍しくない。所有者の落胆ぶりは他人事として見るには面白いが、本人は努めて平静を装ってはいても内心はたまったものではなかろう。鑑定眼というのはそう簡単に養えるものではないし、何より素質というものがある。その点、オールドノリタケは骨董初心者にもわかりやすく収集もしやすい。何しろ裏印によって製作年代がはっきりしているのだから。