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リウマチとともに
◆膝人工関節手術の覚え書き
医療費あれこれ
私は、県の重度障害者医療でなく、国の更生医療の制度を利用した。4月から障害者自立支援法がスタートする、まさに直前。もう少し遅ければ自立支援医療として原則1割負担になるかもしれなかったが(※)、更生医療では差額ベッド代をのぞく入院手術費用が全額支給された。
私のように10代から発病し、働くようになってからも民間の医療保険にはまるで加入できないできた者には、入院医療費の負担は大きい。その意味で、助かったと思っている。ただ、術前術後5日間入った個室の差額ベッド代は、ホテル並み。患者の病状に応じた部屋の提供でなく、お金を用意できる人だけが個室に入れるということに、とても抵抗を覚える。私の場合は、「個室しか空き部屋がない」ということでやむなく入った。もしも大部屋が空かないでずっと個室であったら・・、と想像すると冷や汗が出る。
医療制度はこのところ、患者をますます不安にさせる方向へと変わろうとしている。高齢者の負担増をはじめとして、公的保険の原則を崩す「混合診療」案や、医療費の一定額を保険対象外にする「保険免責」制度の導入案まで浮上しているらしい。
一生のうちに病気をしたり障碍を負ったりするのは、誰にも起こりうること。そして誰もが年老いて衰えていく。そのとき、よりよい医療を受けたい、障碍を持っていても充実した人生を送りたいと願うのは当然だ。そういう基本的なところは二の次で、医療費の抑制がまず目標にされていくなら、このさき私たちはいったいどうなってゆくのだろうか。病気に向き合うだけでも不安は大きい。その上に医療環境が、とても安心できるものでないとすれば・・・。
入院中も医師や看護師などスタッフ全員がいっしょうけんめいに患者の治療にあたってくれているにもかかわらず、15年前の入院とは違うきびしいものを感じた。それはたぶん、患者ひとり一人の病状に応じた医療というよりも、治療効果に視点が移っているという感触だろう。一病院の中だけのことでなくて、おそらく全国どこの病院にも共通する流れかもしれない。
※自立支援医療スタート後は、手帳1・2級の障害者に対して県の重度障害者医療が適用され、食費のみ自己負担となったと聞いている。
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