番外編 幻の50C5差動プッシュプルミニアンプ

 写真撮影用に組み立ててみました。

これは番外編でご紹介した6BM8差動プッシュプルアンプのリベンジをかけて設計を始めたアンプなのですが、製作が進むにつれて段々と情熱が冷めてしまい、ついに無期延期を決意するに至りました。またいつか気が向いた時に完成させようと思っています。(こんなんが多いな〜、最近) というわけで番外編としてご紹介します。

私はどーも移り気といいますか、ひとつのアンプを作り始めても、製作途中で他のアンプの事を考え出すことがよくあります。例えば部品が足らないとかで完成できないアンプがあると、それは取りあえず置いておいて、他のアンプを作り始めるとか。このアンプも6BQ6PPアンプと平行して設計、製作をしていました。両方とも同じような進行状況だったのですが、6BQ6アンプの方を先に完成させることにしたのが運の尽き、それから仕事がやたら忙しくなったこともあって手が付けられない状態になり、ずるずると時間が経ってしまいました。

アンプの製作と言うものは、できれば気合が入っている時といいますか、乗っている時に一気に仕上げてしまうのが良いとつくづく思います。このアンプも、製作しながら気になっていた点などが、中断している間に増幅されてしまって情熱を失うに至りました。今冷静に考えると、このアンプはそこそこのデータは残せるとは思いますが、見栄えが良くないのと、いま現在のアンプに対する考え方などが、このアンプの設計当時とは少し変わってきたりして、完成させても満足は出来ないだろうと思います。

このアンプの構成は、初段は2SJ170の半導体差動増幅回路で50C5の差動PPをドライブするというものです。半導体ドライブ回路は、高いゲインと広い帯域そして低い残留ノイズが同時に得られるという、使用する場面によっては大変効果的な解決策ですが、50C5のようにバイアスが浅い球だと半導体でなくとも、真空管でも差動一段で充分ドライブ可能です。せっかく真空管アンプを製作しているのですから、敢えて半導体を持ってくるには、それなりの理由が欲しいな〜というのが現在の考え方です。つまり、バイアスが浅い出力管(私見ですが、3極管または多極管の3結で−15Vくらいまで、多極管のネイティブ動作だと−8Vくらいまで)ならば、初段の球さえ選べば差動一段でドライブしても満足できる結果が得られる可能性が高いと思います。そういう時には敢えて半導体回路を持ち出す必要が無いのではないかという考えです。それよりもバイアスが深くなると、真空管では差動一段だけでドライブするには段々苦しくなっていきます。例えば6CK4アンプでは−29.9V(プラス9dBのNFB)、6BQ6では−22.0V(プラス4.5dB+10.8dBのNFB)ですから、私の知る限りのどの球を使っても差動一段だけで同様の結果を出すのは無理です。こんな時にこそ半導体回路でドライブする意味が出てくると思います。

という訳で、真空管で差動二段構成のアンプを作ろうと考えています。(6C19Pアンプはど〜なるんじゃ!まったく) まずは、このアンプと6BM8アンプのリベンジの意味で、今度こそ実用に足るミニアンプを完成させることです。成功の鍵は、なんと言っても真空管選びです。出力段には出来る限りバイアスが浅い球を、そして電圧増幅段には出来る限りμが高くてrpが低くて直線性の良い球を探し出す必要があります。

今考えているのは、「真空管アンプのアイディアメモ」でご紹介した6CL6の3結です。これなら動作点にもよりますが、−5Vから−8Vくらいのバイアスで済みますので、電圧増幅段の球の選択にもそれほど困ることはありません。6DJ8等の入手が容易な球でOKです。まずはこれらの球が第一候補でしょう。

できればもう一台、差動二段構成で作りたいのは、多極管ネイティブ動作の差動PPアンプです。6BQ6PPアンプで多極管のネイティブ動作をちょっぴり見直したのですが、モノラル構成ですし、普段は3Dウーファー用に使っているのではっきり言って評価ができません。そこで他の差動PPアンプと比較できるスペックのものを作りたいと思っています。差動2段構成ということならば、6CL6三結(になるかどうかまだ分りませんが)差動PPアンプと直接比較できるようなものがいいかもしれません。まあ、でもまずは6CL6三結(重ねて、6CL6で作るのかまだ分りませんが)アンプを完成させることですが...

 

話は戻りますが、50C5差動PPアンプもせっかくここまで作ったので画像だけでも撮ってみました。ここまで出来ていて完成させないと言うのも、何とも馬鹿な話であります。まあ、変わった奴もいるもんだと笑ってやってください。

 殆ど全ての部品を基板に載せています。

 後は配線をするだけなんですが...

 でも何となくバランスが良くないですよね〜

 

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