榊原公民館講座「榊原地元学」を始めるにあたって


 

地元学とは地元に学ぶことです

 調べた人しか詳しく知らない。聞いただけでは忘れてしまう。地元の人たちが自ら調べて詳しくなることで、より楽しく地元に合った生活が出来るはずです。
 自分で見て歩き、自分の住んでいる地元を深く掘り下げ、自分の言葉で地域を知りものづくり、地域づくり、生活づくりに役立てていくものです。
 地元学という名は1990年(平成2年)に熊本県と水俣市で水俣病問題の解決と地域の再生に取り組んだとき、市の担当者であった吉本哲朗氏が提唱し実績を上げてきた施策です。
 三重県では平成12年から自治会館が取り入れ「三重ふるさと学」という名で、県内の市町村職員の研修を実施しています。榊原でも翌13年にその研修地として協力をしています。
 でも榊原には1980年(昭和55年)に「なにも知らない」ここから始めようと発足した「榊原郷土を守る会」で似たような活動をしてきました。初代会長に「榊原ものしり講座」講師の上山因夫氏が就任され、一時期は目覚ましい活躍でマスコミをにぎわし、その実践発表を文化庁が開催する全国集会でされております。
 この実績もあり、上山先生のご指導で公民館講座として実施するものです。
 進め方としては、三重県自治会館が実施している「三重ふるさと学」のやり方にならって、地元を歩き記録を取って1回目を終わり、2回目はその資料をまとめ模造紙1枚に書き込む作業で完了としたいと思います。講座2回で一つのまとめというわけです。
 模造紙にまとめられたものを公民館で小さくして講座生に配布したり、公民館ホームページに掲載して、誰でも閲覧できるように考えています。

 

何を調べるか

 地元学とは調べ、考え、作り上げていく連続であり、その繰り返しです。
 調べるのは基礎的、基盤的な調査と個別具体の調査で大きく二つに分かれます。
 基礎的基盤的な調査は地形、地質、気候気象などの水・土・光・風に植物や生物などの自然、風土、それに伝統、歴史、民俗文化などの暮らしと、その移り変わりを調べ、地域の個性を知ることです。
 また個別、具体の調査とは、基礎的な事柄をもとに、地域に住む人たちはどのような生活をし、環境を作り上げてきたかを知ることによって「過去を知り、変化を予測し、馴染ませ、未来を共有しつつ今を創っていく」ことでありましょう。いわゆる温故知新です。

 

知らないことに気づく

 知らないことは恥ずかしいことではありません。知ろうとしないことの方が恥ずかしいのです。

 <水>飲んだり使ったりする水はどこから?
 <地形>田や畑の土はどうやって作られた?
 <山>周りの山の高さは?登ったことある?
 <太陽>どの山から登り、どの山に落ちる?
 <暮らし>蒸し暑い夏は?寒い冬の対策は?
 <植物>山の木は?木の実は?畑で野菜は?
 <生物>小鳥の種類は?魚の種類は?虫は?
 <生活技術>家庭で自慢出来る生活の知恵?
 <家庭療法>まじないも含めてお宅の医療?
 <信仰>家庭で祀る神?地元で祀られる神?
 <昔話>地元で語られていた話?家での話?

 地元のことをよく知らない。これは気づかなかったことだと思います。みんな知っている人ばかりではありません。少しずつ知って、日頃の生活に活かし、家庭が少しでもよくなれば幸いです。地元に学び、みんなでよい地元作りをしましょう。