情報化社会に対応する公民館活動
〜パソコンやインターネットに取り組んだ事例〜
三重県久居市榊原公民館
館長 増 田 晋 作
公民館の環境:
来年1月から津市とその周辺の町村と合併が予定されている久居市の西部に位置する榊原町の公民館です。榊原は古くからの温泉とクリーンなエネルギーとして話題の多い風力発電の風車が回っている過疎の地域です。
地域の広さは市のほぼ半分を有しており、病院や温泉旅館などあるものの自治会の戸数は榊原町全部で620です。65歳以上の老人クラブ会員数も700に達しようとしていますが、小学校全校生徒数は81人です。少子高齢化を誇って(?)おります。
公民館は独立した建物はなく、市の施設の榊原農民研修所の一角をお借りしています。この農民研修所には榊原支所と財産区、土地改良区、営農組合など所狭しと同居しています。昭和52年度防衛庁の基地周辺事業で竣工した建物で、かなりの経年で今年2月にやっと水洗便所が使えるようになったばかりです。
館長になっての公民館の疑問:
平成13年(2001)7月に館長を拝命したときに特に感じたのが次の2点でした。
・公民館にパソコンがない
・講座生は高齢者ばかり
平成13年度は情報化として記念すべき年で全国のすべての小学校にインターネットと接続されたパソコンが入ってIT教育が始まった。また各行政では住民を対象にIT講習会が始まって、国挙げての情報化推進が図られたところです。
しかるに指導する立場の市町村役場では、かなりの温度差があり、公民館にもパソコンは配備されていません。そこで館長として出来る範囲で情報化に取り組んでみました。(以下、熊本での発表を参照)
また講座生は高齢者が多く高齢者の私のとっては馴染みやすいけど、地域に開かれた公民館にとっては利用される年齢層を偏らせたくない。そこで講座を見直してみました。
講座の見直し:
平成13年度途中、館長に就任したときは定期講座として次のものでした。
・ちぎり絵 ・実用書道 ・民 踊 ・フォークダンス
・和太鼓 ・歌の広場 ・陶 芸 ・体操とリズムダンス
この中で60歳未満の講座生を探すと、和太鼓と陶芸に少し見られる程度です。
迷うときには原点という私の癖で、公民館を辞書で引いてみると「その地域の住民の教養の向上・健康の増進・情操の純化などを図るため、社会教育法に基づいて市町村が設置する施設。講習会・学習会・集会など住民の自主的な社会教育活動の場として提供される。」とあり、山村振興法(昭和40年5月11日法律第64号)の第3条(山村振興の目標)第5項には「学校、診療所、公民館等の教育、厚生及び文化に関する施設の整備、医療の確保、集落の整備、生活改善、労働条件の改善等を図ることにより、住民の福祉を向上させること。」と、地域づくりとしての役割も期待されています。
インターネットで全国公民館連合会のページを開くと「公民館の役割と機能」が出てきます。ここではわかりやすく3点を上げています。「つどう」「まなぶ」「むすぶ」とあり、その中の「むすぶ」にはこんなことが書いてあります。
<世代を超えた地域づくりの拠点です>
公民館が発足してから半世紀以上が過ぎこの間、公民館を取り巻く社会状況も、公民館が創設された時代とは大きく異なり、公民館は時代の変化とともに人々の多様化、高度化する学習需要や生涯学習社会の進展などの新たな状況に対応し、地域住民の教育、文化の向上のための施設として発展してきました。21世紀に入り、人間とその生活、地域社会とその環境について、その学習課題は増える一方です。公民館はその歴史や活動の原点に立ち戻りながら、新しい世界を生きる人々や地域社会の活動を支えます。
このように公民館は地域づくりの大きな要素となる人づくりの拠点であるようです。
前置きが長くなりましたが、次年度からは若い人の集まる講座と、地域を見つめ地域から学んでいけるような講座を作ろうと考えました。
翌年開講した2つの講座:
「トールペイント」これは若い人たちに人気がありそう。幼稚園に子供を送っての帰りに講座を受けられるよう9時30分から11時30分の午前中の講座にしました。用具や材料にかなりの出費がいるようですが、募集をしたら人気は上々。また講座生は20代30代の女性で、榊原公民館はうんと若返りました。
でも定期講座としての3年が経過して自主グループになりましたので、今年は新しくデコパージュとも呼ばれていますが「シャドーボックス」を始めました。これも若い女性に人気がありそうです。
「榊原ものしり講座」これは地域の勉強です。地域で物知りの人を講師に、2〜3回は貴重な話を聞きますが、そのうちに講座生からも話を聞き出す。講座生が多ければ多いほど物知りになるという講座です。地域の歴史や習慣、方言など出た話をまとめて公民館のホームページに掲載しています。
またこの講座の関連にもなりますが、年に2〜3回特別講座として「聞いておこう昔の話」を開いています。貴重な体験を持つけど人の前で話すのは苦手だという人を呼んで、ものしり講座の講師が司会役をして話を聞き出すというもの。このやりとりをみんなで聞く講座で、パネルディスカッションの田舎版みたいなものです。
榊原ものしり講座も3年経ち自主グループになりましたので、新しく今年から「榊原地元学」という講座を作りました。ものしり講座をさらに進めて、地域を歩いて普段見過ごしているようなものにも疑問を持ち、メモを取ったり写真を撮ってみんなでまとめていきます。そこから何かが見えてくる。土地に学ぼう、という楽しい講座を目指しています。
さらに見識を広めたい:
これまでに視察見学したところは、平成13年度に海山町中央公民館、14年度は長浜の街、15年度は羽島市中央公民館、16年度は上野市西部公民館。また昨年度に当公民館へ視察に来られたのは、和歌山県御霊公民館、上野市内分館長一行、羽島市竹鼻地区公民館でした。
少しでも多く他の公民館を訪問したり公民館の人たちと交流を重ねて、自己研鑽をする中で、次の企画運営に取り組んでいきたいと考えています。
(終)
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