順気よろこび・・・上板並・下板並
 上板並・下板並では「順気よろこび」とよばれる祭礼が行われます。上板並では10月1日本社と権現社(白山神社)に灯明をあげる灯明祭りです。本社700灯、権現社30灯という灯明がかかげられ、夕方から提灯行列を組んで、村中が参拝します。
 上板並・下板並では9月1日に野神の祭りが行われますが、これは湯立ての神事です。さらに10月1日には順気よろこびの灯明祭が行われます。9月1日は二百十日の風の祭りで10月1日は出穂の祭りです。ともに稲作の順調な成長を祈願し、感謝する野神の祭りであることがわかります。
 日没とともにホオズキ提灯をそれぞれ灯して区長の家に集まり、ここから行列をつくって神社境内に向かいます。境内にはかわらけに灯した灯明が両側に本殿まで並んでいます。その中を進んだ行列は社殿に参拝して行列を解きます。
 栗やさつまいもを焼いて食べるなど、灯明をかこんだ楽しい火祭りはおそくまで続くのです。
(春日神社・八坂神社)
  灯明祭り・・・大久保
 大久保の秋葉神社は9月23日、灯明祭りとして行われます。区長が禰宣を代行して祭礼の儀式を行います。かわらけに油を入れ、灯明をかかげますが、灯明は約400個で盛大な火祭りです。夕方から集まった子供たちは灯明で栗やさつまいもを食べるのが楽しみとのことです。(秋葉神社)
   おこない・・・小 泉
1月14日、夕方子どもたちが「小豆一升、米一升、すぎなりもって祝いましょう」と唱えながら村中を歩き、それぞれの家から米と小豆を集めて当屋へ持って行きます。それぞれの家から集めるのは米1〜2合と小豆はほんの少しだということです。
 当家ではかゆたき当番と当家の主人が鏡餅一臼をたきます。こうして一重ねの餅が当家の床の間に飾られます。
 一方、集会所では当日の午後、男子が青竹を取ります。小指くらいの太さ、長さ12センチはどの竹筒を24本用意し、藁を三つ編みにしてすだれ状に結びます。当家では各戸から集めた約2升の米に小豆を混ぜ、粥を炊き上げ、用意した竹筒を粥の中に縦向きに入れます。
 1月15日、朝から当家では小豆粥をもう一度炊き上げます。午前10時頃炊きあがる太
鼓と鐘を叩きます。太鼓の合図を待って、村中の大人・子供などが当家に集まります。全員の見守るなかで小豆の中から竹筒を取り出し、これを披露します。これは作物の占いです。それぞれ作物ごとに竹筒が割られていきます。
 竹筒の中に米粒・小豆の両方とも入っていないと豊作、米が入っていると普通、小豆が入っていると不作との託宣です。
   おこない・・・伊 吹
 「おこない」と呼ばれる神事はもともと豊作を神様に祈る祭りと考えられています。伊夫岐神社のおこないは、室町時代の頃には行われていたと考えられています。
 1月18日に行われる伊夫岐神社のおこないの特色は餅花を奉納することです。餅花のケヤキの木は3mはどの大型で、みごとな餅花が灯篭前に集まると奉納の行列が始まり、神社まで村をねり歩きます。
   太鼓踊り・・・上 野
農業のために豊かな水を得ることは当然の願いであったはずですから、平安初期の頃から
雨乞いの儀式はあったと考えられますが、上野の太鼓踊りは江戸時代の中ごろに雨乞い踊りとして始まったといわれています。
 上野の太鼓踊りの中で注目されるのは、「蓮上(れんじょう)」と呼ばれる伊吹山頂での雨乞い踊りがあることですが、1947年以来行われていません。「蓮上」では「千束焚き(せんばたき)」という風習があり、その時に使われるたいまつはそめっど作られるそうです。
 三ノ宮神社には山の神様と水の神様が祭られているそうです。このことからも、雨乞い踊りが三ノ宮神社でされるのがわかるのではないでしょうか。
 1992年に伊吹小学校児童によって校庭で行われた太鼓踊りは返礼踊りで、返礼踊りの
歌詞は次のようになっています。
            お 礼 踊 り の 歌
   お礼の踊りをおどろうよ おどろうよ
   西をはるかに眺むれば 高見の山にかすみきて しかとも見えぬもみじかな
   山城は、さすが名所の国なるぞや 千草の虫の声すずし
   賀茂川のや漁れも清き吉田山 神に詣でて伏しおがむ
   清水の音羽の滝の由糸を くり返しても結ぼらん
   萩すすきや ききょう石竹甘合の花 五色の花を織りつけよ
   打ち見れば愛宕の山の夕暮に 雲のあなたに立つ煙り
   音に開くさすが名高き金閣寺 庭のいさごも るりとかや
   いざさら綾を織りましょぞや
   東山には桜の林 松やつつじや椿や桃や 花の盛りは面白や
   さすが都や名に聞きし町や小路も綾錦
   我が朝の軒端の梅の影にねて 吹き来る風にかおるらん
   いざさら綾を降りましょぞや
   ここは安井の森なるとかや さても見事に雲晴れてよ 月の光も明らかなり
   名に聞きしや北野の宮の音色を 立ちよりいざや伏しおがむ
   秋風や萄のしずくも大が下 神の恵みのありがたや
   いざさら綾を織りましょぞや
   ここは大内 御門に入りて桜たちばな白洲のかざり みよ万世と舞納む
   末は はるばるながけれどや お礼の踊りはこれまで    (上野太鼓踊り保存会)
   おこない・・・弥 高
 弥高のおこないは2月12日となっていて、鏡餅やお酒、食べ物を供えておはらいをします。ところが「まゆ玉」の行事は1月15日に行われます。これは「神明さん」とも呼ばれていて、平野の神明さんまで「まゆ玉」をもって詣でることになっています。餅つきは男子がして鏡餅を6重ね作り、あとは「まゆ玉」にします。鏡餅は本殿・行者さん・山の神・愛宕さんへそれぞれ1重ね、神明さんには2重ねとなります。
 弥高のおこないは、本来「年乞(としごい)祭」であったものが2つに分化して取り組まれています。
地域の行事