幽芳 
幽芳さまの 初冬の六句     2006/11/16 UP    
ころころと子犬じゃれあう小春かな  
茶柱の立ちて縁側小春かな  
鵙日和よろずよろしき日なりけり  

小机を動かすだけの冬用意  

小書斎わが砦とし冬籠り    

頃合いと夜風が誘ふおでん酒  

幽芳さまの 冬の六句     2006/12/24  UP    
剃刀と言はれし男着膨れて  
気軽るさやあみだに被る冬帽子  
大方は一言居士や懐手  
外套の襟立て男いつも鬱  
北風や島に西港東港
幽芳 

熱燗や夢一つづつ零しつつ   
幽芳さまの 待春・早春の六句     2007/02/04  UP      
待春の歓声どつと二月堂   
東大寺二月堂お水取り
奈良格子魔除庚申日脚伸ぶ    
色よりも香りでそれと黄水仙   
万歩計土筆のあらば土筆摘む  
春風も力士も渡る戎橋  
法善寺芝居のような春しぐれ  
幽芳 

薔薇に棘女の敵は女かな  

何からか話のそれて戻り梅雨  

梅雨寒や書斎の椅子のきしみ癖

父ほどの酒豪になれず葛ざくら

正論はいつも孤立や著莪の雨  

新茶汲む明日の晴れを疑はず

幽芳 
幽芳さまの 初夏・仲夏の六句     2007/05/05  UP      

籐寝椅子老躯五尺のおきどころ  
浜昼顔と指さす人と恋路浜  
幽芳 
黒南風が椰子の実運ぶ海の道   
サングラス取れば意外や優男  
掌で囲う線香花火松やなぎ  
斑猫に迷い心を見透かされ  
幽芳さまの 盛夏の六句     2007/06/30  UP      
幽芳さまの 秋の六句 (其の一)     2007/08/24  UP      

今朝秋や珈琲熱く濃く淹れる  

金剛の山の水引く新豆腐  

途切れたる父子の会話虫の闇  

どぶろくに酔うて無頼の血を濃くす    

沈黙も会話の一つ虫しぐれ 

老の坂峠はすでに薄紅葉     

幽芳 
幽芳さまの 秋の六句 (其の二)     2007/09/01  UP      
(子規の古里松山にて)
幽芳 

ほつほつと萩咲き萩のこぼれけり 

詣で道せばめて萩の白毫寺

十五万石城を仰げば十三夜     

大和棟高窓鳴らす雁渡し

はてさてと汐刻はかる秋扇   

暮の秋羅漢につもる話あり  


幽芳さまの 冬の六句    2007/11/25  UP      
あの頃の村の小町の着膨れて  
冬籠り読まで嵩ねし本の山  
晩年や桶で砂吐く寒蜆   
晩学の道遙かなり寒昴
熱燗や語り尽してなほ語る  
冬涛に捨てに来しもの捨てきれず
幽芳 
幽芳さまの 春の六句    2008/02/24  UP      

おぼろおぼろ五勺の酒の酔いおぼろ  

春宵や書を読むよりも酒酌まむ  

織田作の句碑ある横丁春灯し   

幽芳 

戯言に本音ちらほら花菜漬  

種袋振れば命の音さらさら  

花冷えや見送る人の振り向かず  

千枚の棚田に千の青田風  

箸使ひ品よきひとと鮎の宿  

青嶺越え青嶺分け入る熊野道  

暮れながき淀の堤や行々子 

足るを知る五勺の酒と冷奴 

幽芳さまの 「初夏六句」    2008/06/26  UP      
幽芳 

老懶の己れ励ます梅雨入かな 

ろうらん

幽芳 
幽芳さまの 「秋の六句」    2008/09/04  UP      

晩年やのらりふらりの青瓢(あおふくべ)

一日暮れ一日歳とる法師蝉

長寿眉だけが自慢の敬老日   

健啖の子規に供ふに柿二つ

子規虚子に親しむ小机(しょうき)夜の秋  

村老いて荒れ畑捨て田秋櫻 

幽芳さまの 「冬の八句」    2008/11/28  UP      

奈良茶粥噴きこぼしてや初しぐれ  

日の暮れて北山時雨ほしいまま  

木枯らしや淋しき夜は海で哭く  

冬耕や己が影踏む己が影  

遊ぶことすぐに纏まり冬ぬくし  

群れをなすことは好まじ寒鴉  

へつらわぬ猫膝に抱き冬籠り  

幽芳 

庭師きて長講釈や冬日和