文雄さんのページ 7      
【初秋】 2011/8/11  UP     
庭の木の影の大小秋めきぬ  
土器の風切り飛ぶも秋めきぬ  
石垣の宙ぶらりんの南瓜かな  
大南瓜料られもせず納屋の中  
台風の近し松毬しきり落つ   
台風の迷走といふ風の向き    

文雄


文雄

【仲秋】 2011/9/11  UP     
工事場の砂のお山の赤とんぼ  
山風に秋の風鈴鳴り通し  
虫鳴いて寺領の隅の畑かな  
金の尾の草に消えゆく穴まどひ  
吊橋の浮き上がりたる今日の月  
芋の葉の風におじぎもいやいやも  

文雄

【晩秋】 2011/10/10  UP     
束の間に夕靄と木犀の香と   
秋高く薬草園に山気満つ  
投げし石水面を滑る秋の暮  
竹薮にぽつと灯の点く烏瓜  
身に入みて生家毀せし跡に佇つ 
運動会マイクの声のときに割れ   

文雄


【初冬】 2011/11/10  UP     
口切や庭に添水の音高く 
暦みな薄くなりたる神無月   
日溜りのすなはち落葉溜りかな  
羽搏いて鴨の散らせる日の雫  
風に舞ふ枯葉引きずらるる枯葉   
日向ぼこ聞き手喋り手自づから  

文雄

【仲冬】 2011/12/11  UP     
嚏して頭白紙となりにけり  
ブルドーザー来ては枯野を掻き回す  
手に受けて潮を吐きたる海鼠かな  
手袋の右手ばかりに穴の開き  
お喋りに雑炊焦げてしまひけり
ガラス戸のがたぴし鳴りて牡丹鍋

【晩冬】 2012/1/10   UP     

文雄

入院の母を見舞ふも年賀かな  
夢に見て夢のつづきの喧嘩独楽  
駅裏の商ひ揃ふ三日かな  
あつさりと的射貫きたる弓始  
屋根の雪忘れた頃にまた落つる  
掻き集め泥まみれなる雪達磨  

【初春】 2012/2/10   UP     

文雄

合流の川を二分の雪濁  
湯通しの菊菜色濃く香り濃く  
青天に鳶の輪のある雪崩かな  
どこでどう汚れて来しか恋の猫 
まだ息の残るもありて獺祭 
鮒釣の浮子ぴんと立つ春の水  

【仲春】 2012/3/11   UP     

文雄

三方を指し三椏の花咲ける  
春光や模様めきたる苔の庭  
塵避けの筵廻らせ屋根を葺く  
赤兆し緑を兆し春の山  
疎水にも淵なすところ水温む  
風船の空へ飛び出すデモの列     

【晩春】 2012/4/11   UP     

文雄

遷宮の材とし育ち杉の花  
乗り捨てのレンタサイクル日永かな  
海に出るまで菜の花の道続く  
お天守へこぞりて松のみどりかな  
春深し浅瀬に漁の鷺並び  
風船ガム音立て弾け春深し  

文雄

【初夏】 2012/5/11   UP     
水吹かれ背を伸ばしたる胡瓜苗  
薔薇剪れば夕べの雨の雫かな  
雷鳴のときをり混じる若葉雨  
総会に遅れ参ずる薄暑かな  
鯖躍る一本釣に竿のなく  
恋歌にかな文字多し業平忌