パンジーの震へ通しの花時計
申し訳ほどの葉を持ち冬薔薇
目に一つ止まりそこここいぬふぐり
残雪の嶺々に雲影馳せにけり
恋猫の威嚇の声をぶつけ合ふ
2010・1・31 UP
梅咲いて人出の園となりにけり
信号を待つ間の春の寒さかな
積りつつさっと日の差す春の雪
連なりし赤信号の冴返る
地下鉄へ階薄暗き余寒かな
春の川一気に嵩を増しにけり
若布干し九鬼水軍の滅びし地
散らばりてはたかたまりていぬふぐり
まばたけばそこここに増えいぬふぐり
雲はまだふくらみ切らず二月尽
弾み跳ぶ芝の雀に春立ちぬ
天守より見渡す限り春真近か
2011・1・31 UP
紅梅の蕾むぷちぷちぷちぷちと
紅梅に狛犬そっぽ向いてをり
声だけに取り付いている春の風邪
引っ掻きしショベルの跡も春の土
川底に雑魚の大群水温む
日の射して薄氷の張りゆるみけり
夜を刻む振子の音の冴返る
幾筋もしだるる梅に幹ひとつ
雨止みて匂ひ立ちたる焼野かな
朝靄の湧き立つ野川春浅し
木々の間に谷底の透く余寒かな
2009・1・31 UP
2008・1・31 UP
春光に胸突き出して鳩歩む
佳き知らせありたる朝の梅開く
風を得て舌舐めずりの畦火かな
ちょろちょろと這ひ上り来る畦火かな
盆梅を褒め碁敵となりにけり
2007・1・31 UP
梅の宮まで渋滞のつづきけり
保育器を出る嬰間近や春隣
寝転んで日差しの眩し臥竜梅
剪定に見事に応へしだれ梅
日溜りの砂場に春の立ちにけり
銭亀の眠れる槽に日脚伸ぶ
梅の香に水音に歩をゆるめけり
先駆けて神池の辺の梅蕾む
出店あり珍鶏もをり梅の宮
切株に石にも掛けて梅の園
2006・2・1 UP
嶺々はまだ靄の中春浅し
新若布貰ふ鳴門の土産とて
調律の鍵盤に春立ちにけり
ふる里は半農半漁海苔を干す
下萌や売出しはじむ分譲地
下萌のベースに滑り込みセーフ
熊野灘指し那智山の雪解水
台座のみ残る銅像春寒し
枝替へて跳び移りさう猫柳
水よりも透けて薄氷揺らぎけり
追ひ込みの二月の道路工事とも
使はれず錆びたる針の供養かな
2005・2・1
大笑ひして鬼やらふ福の神
名も知らぬ野鳥が庭に春隣
寒明に心の窓を開きけり
薄氷を微塵に砕き反抗期
梅咲くや卆寿傘寿の父母に
結ひたての髪の匂ひや針供養
志乃美の 2月の句
2012・1・31 UP
梅に名の知らるる宮となりにけり
臘梅の日差しを透かし匂ひけり
恋猫の猫と思へぬ声にかな
白梅の一輪の香を放ちけり
ひとつづつ掴まってゐる猫柳
燻りて赤き舌出す畦火かな
紅梅のお茶目な蕾ぷちぷちと
雪解けの屋根滑り落つ音しきり
掬はれて白魚となり跳ねにけり