neworleans
            ニューオリンズ      2000/11


旧きヨーロッパを思わせる街並みと、独特の料理、そしてジャズ。フランスとスペインの植民地であった歴史が、この街をエキゾチックで、多彩な魅力をもつものにしている。
クレオール料理と、ケイジャン料理がニューオリンズの独特の料理だ。まず、クレオール料理で有名なレストランANTOINE'S(アントワース)に予約を入れる。このレストランは、1840年の創業だけあって、室内のインテリアもウエイターの物腰も古き良き時代の香りが漂う。男性は必ず、ジャケット着用であるが、旅行者だったり、正装していない場合は、入り口近くにクローゼット室があり、ジャケットを一時的にレンタルする。さすがに料理は、新鮮な生牡蠣をはじめ、最高級のメニュウを楽しむことができた。

ミシシッピー川を船で下る、ディナーとジャズコンサートつきのクルージングでは、日本の11月とは随分違って温暖であるために、デッキでは心地良い風に吹かれながら、地球上では日本のちょうど裏側にいるのだという、不思議な感覚とともに、ジャズのスイングに酔いしれたのだった。クルージングの食事はバイキング。オクラを使ったガンボ料理や米の炊き込みとも言うべきジャンバラヤなど、多彩なメニュウが並んだ。


一番の繁華街は、フレンチ・クォーターである。時代錯覚を起こさせる、素敵なこの街の佇まいは、他の国では味わえない特別なものだ。日が沈む頃になると、いったい何処から?というほどに多くの人々が繰り出してくる。道路には、大道芸人が彼方こちらに立ち、歩道を歩けば、横を馬車がすり抜けて行く。やがて、どこからともなく、トロンボーンの気だるい響きが聞こえてくるかと思えば、突然、次の店ではデキシージャズが軽快な音をはね飛ばす。毎夜毎夜、当たり前のように人々は、このようにスイングしつつ、バーボンを引っかけているのだろう。彼らは、夜更けまで遊ぶようだから、我々は早々に、引き上げる。ニューオリンズのヒルトンは、心地よかった。


プランテーション・ホームズのツアーに参加した。ニュオリンズからミシシッピー川をさかのぼった川沿いに、18〜19世紀のプランテーション農業華やかなりし時代に建設された、農園主の豪邸が残されている。それを訪ねるツアーである。また、バスで行く途中には、郊外の人々の今の生活を垣間見ることもできる。

プランテーションとは、つまりアフリカから連れてきた奴隷を農場で働かせるのだが、農場主とは遙かに異なり、彼らが住まわされた、いわゆる掘っ立て小屋がそのまま残されていて、見物した我々は、アンクル・トムなどをふっと、思い出したりしたのだ。豪邸の主は、「Gone with the wind」のスカーレット・オハラかしらと、また思いを馳せる。奴隷小屋の横には、人の値段を記した看板が立ててある。よく働く頑丈な男は高額であり、子供は安い。たかだか、100年余りの過去のこととは、とても思えないものがある。
未来において、二度とここを訪れることはないだろうけれど、深く心に刻んだことだった。

この後、デトロイト空港を経由して、ニューヨークへ飛んだ。ニューヨークについては、別項。


戻る