私的資料補説

大河ドラマ「江姫たちの戦国」
10.湖北の恩人、屋敷氏?
資料館へお越しの方々に、50作目の大河ドラマに「江さん」を選んでくれたNHKのプロデューサーは、なかなか見識のある人と、褒めちぎることにしています。

大河ドラマの1作45分分の制作費は、平均で6、000万円だそうです。篤姫5、910万円、功名が辻6、110万円風林火山6、080万円、国会答弁の中に出ている数字なので、まず間違いは無いでしょう。

15分過ぎると、2、000万円分見たことになります。これでは、受信料だけ払って大河を見ない人は、大損をしていることになります。このごろ、Go、Goとコマーシャルや大河関連番組もかなり作られ、これを民間放送のCM料金として計算すればきっと目をむくような金額になることでしょう。

そんな大事な大河に、しかも全国から、自薦他薦あわせて39地区から作品化してほしいという希望が出ていたという中、江さんに白羽の矢を当てていただいたことに衷心より感謝申し上げる次第です。

今日は、そんなNHKチーフプロデューサー屋敷陽太郎さんのお話を聞く機会がありました。
直接、お礼を申し上げようかとも思いましたが、失礼でもあり取りやめました。

以下は、お話の中、なるほどなあ・・・と、学ばせていただいた点です。

落城の際、炎上していない小谷城を燃やす設定については、時代考証の先生方に、やぐらだけを燃やすということでご了解いただいたこと。(ちなみに、1名は静岡大小和田先生、もう1名は我が長浜城の太田参事)

方言を使えという主張に従うと、信長や秀吉は、名古屋弁を・・・ということになり、鹿児島弁を忠実に再現したドラマがあったが、字幕だらけとなって鹿児島県以外からは不満たらたらであったこと。

茶道の千利休は、本来ならアグラをかいているはず、当時正座は無かったということ。茶碗をまわす作法も、かなり新しい時代になってから始まったとか。

香は聴くと表現するが、戦国時代は、普通に「かぐ」といっていたという。しかし、かぐではNHKはものを知らんなあと馬鹿にされそうなので、聴くとしていること。

龍馬伝で原田泰造演ずる役に台本間違いがあり、撮影が終わってから一人でアフレコしてもらったという。「伊豆の下田」というところを、「駿河の下田」と、してあったというのです。たんたんとして語っておられましたが、NHKにしては余りにもお粗末なミスだなあと思った次第です。

キャストの年齢バランスに対する批判があるが、その人物の最も活躍する時期に焦点を当てたキャスティングにしているといいます。北大路欣也の家康は、晩年の家康に活躍してもらいたいための配役だそうです。

最近、このごろの大河は何でもあり、あまりにも史実から離れて見る気がしないという人もいます。家康と一緒に千種越えをしたり、信長の亡霊?に会ったり・・・・と、でも、あくまでもフィクション、どれだけ史実から離れ、飛び出せるかが、作者の創造力の見せ所、そんな風に見てやってほしいと、少しばかりNHK屋敷さんの肩を持つようにして恩返しをしようと思っています。



展示空間が全面改装された郷土学習館
11.誰かを忘れていませんか?
本資料館は、大河の経済効果をあてにしてにわかにオープンした施設ではありません。開設以来、20年近い歴史があります。

ここは、民俗資料を展示する庄屋屋敷「七りん館」、養蚕関連の「糸姫の館」、草野槍の「鍛冶部屋」、それと資料館のセンター施設としての「郷土学習館」からなる総合的な資料館です。お隣の小谷戦国資料館が浅井長政メインであるなら、こちら浅井歴史民俗資料館は遠慮して?お市を・・・・・ということでしょうか、この4施設を含めた呼称として、「お市の里」が使われてきました。

これが、誤解を生んで、ここに「お市の方」関連の史料がわんさかあるように思われて、過去はそれをあてにしてご来館いただく方もあったようでした。展示品の中心は、お市が使ったと伝わる扇子と小谷城脇門の扉ぐらいで、失望感どころか、お叱りのことばもいただきながらの運営だったようです。

このままの状態で、大河ドラマが始まり来館者が増えれば、「入場料を返せ」「詐欺だ」と、言われかねない状況でした。

そんな中、長浜城の太田参事が、「財団法人日本宝くじ協会」の助成事業への申請を思いつき、企画立案していただきました。その結果、全国から数多くの関係機関団体が要望していた中、斬新で魅力ある展示空間を創出しようとする意欲的な内容が評価され、見事に助成事業として採択され全額助成で改装工事が進められたのです。

この申請が行われてからも、相手が、宝くじ協会では「あんまり、当てにはならんなあ!」という思いがあったのですが、こんなラッキーな結果になったことを地域としては、真剣に有難く思う必要があるように思っています。

もし、助成対象に取り上げられていなかったらと考えると、背筋が寒くなるような思いにかられるのは、決して私だけではないと思います。

ご来館いただいた方々に、「大河ドラマの経済効果を狙って、勿体ないなあ、税金使ってこんな施設作ったと思わんといてください。これは、宝くじさんからのプレゼントです。年末ジャンボを買っても、ちっとも当たらんと思っておられる方もこんな有益なことに使われていると思ってあきらめてください。宝くじを買っていただいている方に心から感謝申し上げます。」と、お礼のような冷やかしのようなことを言っています。

でも、本当は宝くじを買ってくれた人より、もっと先にお礼を申し上げなければならない人が、いるんですよね。