イスラム教徒の五行の一つ、ラマダン月の断食について紹介します。
ラマダンとは太陰暦(月の満ち欠けで決められた暦)の9月のことを言います。今年は8月22日にラマダン月が始まりました。まず驚いたのが、始まる日が直前まではっきりしないことです。何でも、元首や宗教的指導者が新月の次の日の細〜い月を確認したら布告するそうです。雲で月が隠れて見られないときは1日見送られることもあるとか…。
ラマダン月になるとイスラム教徒は断食をします。日の出から日没まで食べ物はもちろん、水も飲みません。タバコも吸わないとか、敬虔な人は自分の唾すらも飲みこまないようにしているそうです。また、「スイートストーリー(恋愛などの浮かれた話)やバッドワード(喧嘩などの汚い言葉)も控えるのよ」と教えてくれた女の子もいます。この1カ月は心穏やかに静かに過ごすべきと言われています。(みんながみんな、敬虔な人ばかりという訳でなさそうですが…。)
そもそも何故断食をするのかと言うと「断食を通し、持たざる者(貧しい人)の気持ちを理解し、持てる物(食べられること)への感謝をする精神修養の期間です。期間中イスラム教徒は単に断食するだけではなく喜捨(貧しい人への施し)などを通し善行を積む事を求められています。」だそうです。
ラマダン月になると一気に街の様子が変わりました。日中、レストラン等は休業になります。日没前になるとみんな一斉に家に帰ります。日没の合図(7時過ぎ)がある頃には通りには誰一人としていません。そして夕食がひと段落すると街が賑わいます。大音響の音楽、花火、爆竹、車の騒音…ちょっとしたお祭りのようです。そして日の出前の4時頃にまたご飯を食べているみたいです。
また、ラマダン月の間は夕食に親せきを招待したり招待されたりという習慣があります。親せき一同で食卓を囲んでにぎやかに食事をします。食事の後はコーヒーや紅茶でまたゆっくりとおしゃべりをしたりカードゲームをしたりと、毎晩深夜まで楽しい時間を過ごします。私も3つの家族に招待してもらいました。どの家庭でも親切にしてもらい、たくさんのアラビー料理をごちそうになりました。ラマダンで痩せられるかな、と思いましたが夕食の半端ない量と、紅茶と共に出される深夜のとてつもなく甘いお菓子、これは逆に太りそうです…。
(2009,9/1 大島)