* :::  宮沢 賢治 と 月  ::: * 



 二十六夜の金いろの鎌の形のお月様が
 静かにお登りになりました

 そこらはぼおっと明るくなり、
 下では虫が俄かに しいんしいんと鳴き出しました。

 遠くの瀬の音もはっきり聞こえて参りました。
 お月様はすぅっと桔梗色の空におのぼりになりました。

 それは不思議な黄金の船のように見えました。


             ・・・「二十六夜」 より





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